icemanの気まぐれ文化系生活

 読書、映画、ゲーム等、文化系の趣味全般をこよなく愛する会社員です。最近はガンプラ製作がマイブーム。

【映画】いぬやしき鑑賞レビュー

どうも、icemanです。


先日、昼ご飯を食べていたら結構な強さで舌を噛んでしまいました。

なかなか血が止まらないので病院に行ったところ、静脈が切れており、なんと急遽2針縫うことになりました。

口の中なのですぐ治ると思っていたのが素人判断でした。次からは自分で判断せず、すぐ病院に行こうと思います。


さて、今回ですが、最近ガンプラのことばかりだったので、映画のレビューでも書こうと思います。


いぬやしき(2018)

・原作

奥浩哉いぬやしき」(イブニングKC)

・監督

佐藤信

・脚本

橋本裕志

・出演

木梨憲武

佐藤健

本郷奏多

二階堂ふみ


実写版「いぬやしき」。amazonプライムで視聴。


◆あらすじ

どこにでもいる平凡な初老のサラリーマン、犬屋敷壱郎(木梨憲武)が、犬の散歩中に高校生の獅子神コウ(佐藤健)と共に宇宙人によるUFO事故に巻き込まれ死亡する。しかし2人は宇宙人の手により機械の体として蘇り、第2の人生を歩みだす。。という物語。

同じ事故に遭い同じ境遇を背負いながらも、正反対のアプローチで自分の存在意義を見出していくところが物語の主題。

 

以下、なるべく核心に触れずネタバレ。


原作はGANTZ奥浩哉。更に監督も実写版GANTZと同じ監督なだけあって、原作の世界観を壊さないよう、CGと特撮をミックスして映像を作り上げる手腕は見事。そういった意味ではほぼ不満はなく、素直にすげーと思って観れた。映像については実写版「進撃の巨人」等とは比べるべくもないクオリティ。

あと、機械化された後の犬屋敷氏と獅子神が持つ「機能」がこれからのIOT社会を予想させて面白い。網膜に映像を写したりとかはコンタクトレンズに5G回線を通じて大容量データを送信できるようになれば実現可能な気がするし、車の遠隔自動操作も現在の自動運転技術の延長線上にあると思う。

近い将来、もう少し技術が進めば実現できそうな世界観の中で描かれているので、まるっきり荒唐無稽なファンタジーではなく、リアルにイメージができるところが、この作品に単なるヒーローものではない現実味をもたせている。

ただ、原作アニメを全11話みた後での感想でいうと、映画版はやや詰め込みすぎた感は否めない。プロモーション的に難しい面があるのもわかるが、やはり前後編でやるべきだったと思う。鮫島のエピソード等、原作にも物語の大筋に関係ない、省略できそうな部分は散見されたので。

この作品は美少年がヴィラン、初老の男がヒーローという、一般的なイメージとは逆の配役をしていることが最大の仕掛けになっているが、映画では映像の視覚効果重視の作りになっており、2人のキャラクターやパーソナリティーに対する掘り下げがやや甘かったと思う。

加えて、原作アニメで4〜5時間分の内容を2時間にまとめていることもあり、強調しなくていい部分が強調され、省略してはいけない部分が省略されている感がある。

例えば、機械化される前の犬屋敷氏の日常生活の描き方。原作では犬屋敷氏が職場で仕事をする場面はほとんどないが、映画では職場描写が度々登場し、しかもリストラ寸前の仕事ができないお荷物社員として描かれている。家庭においても、弟がカツアゲに遭っていることに気づいていなかったことを娘に激しく叱責されたり、職場でも家でも拠り所がなく、救いがない感じ。そこまで犬屋敷氏の日常の悲劇性を強調する必要はないかなと思う。後半で犬屋敷氏の娘がピンチに陥った時に父親に助けを求めるところも、あれだけ威厳が失墜してる父親に真っ先に助けを求めるか、不自然さを感じてしまった。

反対に獅子神の方は、原作と比べ人間性が残っていることを表す描写が少なく、人格破綻したシリアルキラーの側面を強調して描かれていた。原作ではしおんとおばあちゃんを海外に逃がそうとしたり、物語終盤で安堂の家を訪れ、機械化される前の日常に戻りたい旨を打ち明けたりと、大量殺人犯ながらもどこか共感できる部分を残していたが、これらのシーンが映画版ではほぼ全てカットされていた。まあ、映画という時間的に限られた枠の中では、人間性を残した描写をするよりヒールに徹した方がわかりやすいか。

ラストの構成としては、犬屋敷氏が機械になって人助けをしていることを娘しか知らないことになっており、賛否両論あるだろうが私的にはアリだと思う。これはこれで家族関係の修復という結論には至っていないが、力を隠しながら日常に回帰していくみたいな。原作ほどの飛躍的な盛り上がりはないが、まあ無難にまとめた方ではないだろうか。

というわけで、総合満足度は6。

 

総合満足度  ★★★★★★☆☆☆☆